この記事では、総務部門がアプリ作成に挑戦した事例をご紹介します。ローコード開発という手法を使って、社内の業務効率化やコミュニケーション改善に挑戦。総務部門から始める社内DXについてお伝えします。
総務がアプリを作成する背景
近年、企業の経営課題としてデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されています。DXとは、デジタル技術を活用してビジネスプロセスを変革し、新たな価値を創出する取り組みのことを指します。このDXの推進において、企業の基盤を支える総務部門の役割が非常に重要となっています。
総務部門は、人事、経理、法務など、企業の様々な業務を担当しています。これらの業務は企業の運営において欠かせないものであり、その効率化が企業全体の生産性向上に直結します。しかし、総務部門はIT部門(情報システム部門)とは異なり、高いITスキルを持つ人材が少ないため、新たなシステムを導入する際には外部のベンダーに依存せざるを得ない状況が課題となっていました。
ローコード開発に着目
そこで注目されているのが、ローコード開発を用いたアプリ作成です。ローコード開発とは、プログラミング知識が少なくても、視覚的な設定やドラッグ&ドロップだけでアプリケーションを開発できる手法のことを指します。これにより、総務部門でもITスキルがない人でも、自分たちの業務に最適化したアプリを自ら作成し、運用することが可能となります。そして、総務部門はIT部門(情報システム部門)や外部のベンダーに依存することなく、自身の業務改善を進めることができるようになります。このような背景から、総務部門でもアプリを作成し、業務効率化を進める動きが広がっています。
ローコード開発とは
ローコード開発の概要
ローコード開発は、プログラミングの専門知識が少ない人でもアプリケーションを簡単に作成できるようにする開発手法です。コーディングの必要性を減らし、ドラッグ&ドロップのような直感的なインターフェースを使用します。
ローコード開発の利点
このアプローチは開発時間を短縮し、より迅速なプロトタイピングと製品の市場投入を可能にします。非技術者でもアイデアを素早く形にできるため、イノベーションを促進します。
また従来の開発方法に比べて、ローコードは専門的なスキルが不要なため、開発コストを削減できます。
ローコード開発のおける考慮事項
カスタマイズの柔軟性や複雑な機能の実装には限界があり、大規模なシステムや特定のニーズには適していない場合があります。
ローコード開発は、迅速な開発ニーズとユーザー主導のイノベーションを支援する現代のソリューションとして注目されています。プログラミングスキルがなくても、誰でもアイデアを実現できる手段を提供することで、ビジネスのデジタル変革を加速させることが期待されています。ただし、その利便性にはトレードオフがあり、すべての開発シナリオに適しているわけではないことを理解することが重要です。
ローコード開発を用いた社内DXの実現方法
現場の課題の明確化
ローコード開発を用いた社内DXの実現方法は、まず現場の課題を明確にすることから始まります。具体的な業務改善のアイデアは現場から生まれるため、現場の声を取り入れることが重要です。
アプリ作成
次に、その課題を解決するためのアプリをローコード開発ツールで作成します。ローコード開発ツールなら総務部門でも自分たちの業務に最適化したアプリを自ら作成し、運用することが可能となります。
試行錯誤と改善
作成したアプリは現場で試用され、フィードバックをもとに改善されていきます。これにより、現場のニーズに合わせた柔軟な業務改善が可能となります。
組織全体への展開
一部門での成功体験は他の部門にも共有され、組織全体の業務改善・効率化につながります。これが社内DXの実現につながります。
このように、ローコード開発を用いた社内DXの実現方法は、現場の課題の明確化から始まり、アプリ作成、試行錯誤と改善、組織全体への展開というステップを踏むことで、総務部門が主導する形で進められます。これにより、総務部門はIT部門(情報システム部門)や外部のベンダーに依存することなく、自身の業務改善を進めることができるようになります。
総務が主導するローコード開発の手順
総務部門が主導するローコード開発の手順は、前章で説明した内容をもとに、以下のステップで進められます。
1. 日々の業務の課題や要望の洗い出しとヒアリング
総務部門は日常業務で負担が大きい業務や効率が悪い業務など課題を洗い出します。また社内の他の部門や従業員からの要望や課題も洗い出します。次に要望や課題を深掘りするためにヒアリングし、具体的なニーズや課題の本質を理解します。
2. アプリケーションの設計とプロトタイプ作成
課題や要望をもとに、アプリケーションの設計を行います。どの業務のどの部分をアプリ化した方が良いのか。そのアプリには、どんな機能が必要か、どんな画面が必要かなどを明確にします。そしてローコード開発ツールを使用して、プロトタイプを作成します。ユーザーに触ってもらい、フィードバックを収集します。
3. アプリのブラッシュアップとテスト
フィードバックを元に、プロトタイプを完成版アプリに向けブラッシュアップしていきます。そしてアプリをテストし、バグを修正します。ローコード開発ツールならフィードバックの反映から修正、テストのサイクルを通常の開発よりも迅速に進められます。
4. 社内への展開と運用
完成したアプリケーションを社内に展開します。まずは全社展開ではなく、一部の部門に限定して展開する方が良いでしょう。運用中は社員からのフィードバックを収集し、必要に応じて改善を行います。そして運用が軌道に乗ったら全社展開していきます。社内展開する際は、社員が使いやすいようにマニュアルを用意し、トレーニングやサポートを提供します。
総務部門がローコード開発を主導することで、自身の業務改善を効率的に進め、組織全体のDXに貢献できることが期待されています。
作成したアプリとその効果
出張申請アプリ
出張者による申請、上長による承認・却下、総務部門での確認がアプリ上で行えます。
承認依頼はメールやMicrosoft Teamsで通知され、外出先でも確認・対応可能になります。
在社状況確認アプリ
社員が出社しているのか・テレワークなのか、デスクにいるのか・いないのか、今日の予定や座席位置など一目でわかるアプリです。
社員同士の円滑なコミュニケーションに役立つことはもちろん、総務部門での電話取次などで効果を発揮します。
弁当注文受付アプリ
社員向けの昼食用弁当注文受付アプリです。弁当の予約受付、受取確認から月次の集計、給与天引きに関する作業負担を軽減します。
総務の新たな挑戦とローコード開発の可能性
総務部門がローコード開発に挑戦することで、新たな可能性が広がります。以下は、その可能性についての考察です。
業務プロセスの最適化
総務部門は日々の業務において多くのプロセスを管理しています。ローコード開発を活用することで、これらの業務プロセスを自動化し、効率的に運用できるようになり時間とリソースを節約できます。
ユーザーエクスペリエンスの向上
総務部門が自身でアプリケーションを作成することで、ユーザーエクスペリエンス(アプリを利用することで社員が感じる体験や感情)を向上させることができます。社員が使いやすい画面や機能を提供することで、社内の満足度を高め、生産性を向上させることができます。
イノベーションの促進
ローコード開発は、アイデアを形にするスピードを大幅に加速させます。総務部門が自身のニーズに合ったアプリケーションを迅速に作成できるため、新たなアイデアやビジネスプロセスの改善が促進されます。
組織文化の変革
総務部門がローコード開発を推進することで、組織全体の文化が変わります。外部ベンダーにアプリ開発を依頼しコストや時間がかかっていた部分が、自社(自身)でアプリ作成から改善のサイクルを迅速に回すことができるようになるため、自社(自身)で業務改善しようといった姿勢に変わります。
「ローコード開発を始めるために何から着手したら良いのか分からない。」
「自社で挑戦できることは分かったけど、まだ不安だ。」
「自社だけでローコード開発できるようになるまでサポートしてほしい。」
このような課題に対して、NTCでは開発支援メニューやサポートメニューをご用意しています。
総務部門がローコード開発に挑戦し、社内DXに貢献できるように支援します。
まずは、お気軽にお問い合わせください。