電子帳簿保存法の対象外となるケースはある?

電子帳簿保存法では、すべての法人と個人事業主が対象とされていますが、この中でも対象外となるケースはあるのでしょうか。
2022年1月の改正をふまえた最新の情報をもとに、この点についてわかりやすく解説します。
なお、この法律の概要や最新の改正内容については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
【2022年1月改正】電子帳簿保存法の基本と最新の内容をわかりやすく解説!

目次

1.電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法について、3つの区分に分けて解説します。

(1)電子帳簿等保存

会計ソフトなどで、電子的に作った帳簿や書類を、電子データで保存するときの規定です。
例えば、総勘定元帳や現金出納帳、自己が作った見積書や請求書などが該当します。
この保存方法が認められるためには、記録の訂正や削除の履歴が確認できる電子計算機処理システムを使用するなどの要件があります。
一定の要件を満たす場合には、過少申告加算税が軽減されたり、所得税の青色申告特別控除(65万円)を受けられたりします。
電子帳簿等保存を適用するにあたっては、特別な手続きは必要ありません。

(2)スキャナ保存

紙でやり取りをした見積書や請求書などの取引関係書類を、スキャナで読み取って電子データで保存するときの規定です。
相手から受け取った書類と、自己が作った書類のどちらも対象となります。
スキャナ保存の要件は、重要書類と一般書類で少し異なりますが、基本的にはほとんど同じです。
重要書類は、契約書や請求書などの物や資金の流れに連動、直結する書類です。
一方で一般書類は、見積書や検収書などの物や資金の流れに連動、直結しない書類です。
スキャナは、解像度200dpi(A4サイズで約387万画素相当)以上で、カラー画像(一般書類はグレースケール画像でも可能)でなければなりません。
しかし、これを満たせば、スマートフォンやデジカメで撮影した画像も、スキャナとして扱えます。
なお、スキャナ保存の適用にあたって、特別な手続きは必要ありません。

(3)電子取引

電子データでやり取りをした見積書や請求書などの取引関係書類を、紙に印刷せずに電子データのままで保存するときの規定です。
改ざん防止のための措置をとるなど、一定の要件を満たした形でデータを保存する必要があります。
2023年12月までは、電子データを印刷して保存することが認められていますが、2024年1月からは紙での保存が認められなくなります。
申告所得税、法人税に関して、帳簿書類の保存義務があるすべての方が対象ですが、事前の申請は不要です。

2.電子帳簿保存法の対象外となるケース

電子帳簿保存法の対象外となるケースについて、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つに分けてみていきます。

(1)電子帳簿等保存

電子的に作った帳簿や書類を電子データで保存できますが、一部の帳簿を紙で保存することもできます。
例えば、総勘定元帳を電子データで保存し、現金出納帳は紙で保存するといった形です。
ただし、帳簿の一部を手書きするなど、一貫して電子的につくられていないものはこの保存方法の対象外となり、電子データでの保存ができません。
また、適用を開始する時期は自由ですが、帳簿については原則、課税期間の途中から開始することはできません。
さらに、義務ではなく任意のため、電子的に作った帳簿や書類を、これまでどおり紙に印刷して保存することも可能です。

(2)スキャナ保存

スキャナ保存を開始する時期は自由ですが、スキャナ保存を開始した日より前に作ったり受領した過去分の重要書類については注意が必要です。
このような過去分の重要書類をスキャナ保存する場合には、事前にその種類などを適用届出書に記載し、税務署長などに提出しなければなりません。
スキャナ保存は義務ではなく任意のため、これまでどおり紙で保存することも可能です。

(3)電子取引

電子データでやり取りをした場合の規定なので、紙でやり取りをする場合は対象外です。
したがって、2024年1月から義務化されるものの、電子でのやり取りが一つもなく、すべて紙でやり取りをしている、といった企業は対象外ということになります。

3.まとめ

電子帳簿保存法は、すべての法人と個人事業主が対象で、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つの区分に分けられます。
この3つの区分のそれぞれにおいて対象外となるケースがあるので、後で気づいたら要件を満たしていなかった、といったことがないよう確認しておきましょう。
詳しい要件については、こちらの記事で詳しく解説しています。
電子帳簿保存法の要件一覧をわかりやすく解説

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電子帳簿保存法への対応を検討している場合には、ぜひ一度ご相談ください。

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