インボイス制度に抜け道はある?罰則と支援措置について

インボイス制度について、各事業者が対応を迫られている中で、今後の売上に大きな影響を受けかねない免税事業者は特に頭を悩ませていることでしょう。
そんな免税事業者の中には、何か抜け道はないものかと、日々考えをめぐらせている人もいるはずです。
そこで今回は、インボイス制度における抜け道についてと、制度に違反した場合の罰則、インボイス制度の支援措置についてみていきます。
インボイス制度の概要については、こちらの記事で詳しく解説しています。
2023年導入のインボイス制度とは?会社の経理にも関係ある?業務に与える影響まとめ

目次

1.インボイス制度に抜け道はあるのか

インボイス制度は、特に免税事業者にとって厳しい制度となりますが、結論からいうと課税取引である以上、抜け道はないと考えてよいでしょう。
虚偽の記載をしたインボイスを交付するなどした場合には、罰則の対象となります。
罰則の対象とはならない対策として、個人事業主であれば、取引先に従業員として雇用してもらう方法があります。
しかし、雇用する側にとっては経費が増えることになるため、簡単には承諾してもらえない可能性が高いでしょう。
また、雇用される側の個人事業主にとっても、その会社の規定に従わなければならなくなり、自由に仕事ができなくなるため、あまり現実的ではありません。
課税事業者に対してインボイスを交付できない場合に、取引を継続するための方法として、双方の合意のもとで消費税分を考慮した金額に見直す、といった方法もあります。
なお、売上先が免税事業者や一般消費者(個人)であったり、課税事業者でも簡易課税を選択していたりする場合には、インボイスの交付は不要なため、インボイス制度による影響は特にありません。

2.インボイス制度に違反した場合の罰則

インボイス制度に違反した場合には、1年以下の懲役か50万円以下の罰金となります。
また、インボイス発行事業者の登録を受けられなくなったり、重加算税が適用されたりする可能性もあります。
このような罰則の対象となるのは、例えば以下のような違反行為を行った場合です。

【誤認される可能性のある書類の交付】
・架空の取引内容を記載した書類
・他者の登録番号を記載した書類
・架空の登録番号を記載した書類


【虚偽の記載をしたインボイスの交付】
・架空の取引内容を記載したインボイス
・金額を水増ししたインボイス
・売上除外のために名義を偽装したインボイス

3.インボイス制度への対応は支援措置を活用しよう

インボイス制度には、さまざまな支援措置があるため、これらをうまく活用するようにしましょう。

(1)消費税の納税額が軽減される「2割特例」

免税事業者だった者がインボイス発行事業者となった場合の、税負担や事務負担を軽減するための措置です。
対象期間中の納税額が売上にかかる消費税額(売上税額)の20%(2割)に軽減されるほか、売上と収入を8%と10%の税率ごとに把握しておくだけで申告できます。
経費などの集計が不要となる上、事前の届出も必要なく、申告時に選択するだけで適用されます。

【対象者】
免税事業者だった者がインボイス発行事業者になり、なおかつ一定の要件を満たす者
【対象期間】
2023年10月1日~2026年9月30日までを含む各課税期間

(2)「持続化補助金」の補助上限額の一律加算

「持続化補助金」は、商工会や商工会議所の支援を受けて取り組む販路開拓などの費用を補助してもらえる制度です。
対象者において、この補助上限額が一律で50万円加算され、100万円~250万円になります。
ただし、基本的な補助率は3分の2以内、一部の申請類型においては4分の3以内です。

【対象者】
免税事業者からインボイス発行事業者になった小規模事業者
(小規模事業者の定義は、従業員数が「製造業その他」で20人以下、「商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)」で5人以下、「宿泊業・娯楽業」で20人以下)
【補助対象】
委託費、展示会出展費、広報費、税理士相談費用、開発費、機械装置導入など

(3)制度開始時よりインボイス発行事業者となるための申請要件の緩和

インボイス制度の開始時よりインボイス発行事業者となるためには、2023年3月末までの申請書提出が必要で、これに間に合わない場合には、申請書にその事情の記載が必要でした。
しかし現在では、2023年4月以降の申請でも、申請が遅れた事情の記載は不要となっています。

(4)「IT導入補助金」の補助下限額の撤廃

「IT導入補助金」の「デジタル化基盤導入類型」について、低価格の会計ソフトも対象となるよう、補助下限額が撤廃されています。
これによって、ITツールは50万円までは補助率4分の3以内、50万円~350万円までは補助率3分の2以内となりました。
そのほか、PC・タブレットなどは10万円までで補助率2分の1以内、レジ・券売機などは20万円までで補助率2分の1以内です。

【対象者】
中小企業や小規模事業者など
(中小企業の定義は、業種や組織形態ごとの資本金や従業員数による)
(小規模事業者の定義は、従業員数が「製造業その他」で20人以下、「商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)」で5人以下、「宿泊業・娯楽業」で20人以下)
【補助対象】
ソフトウェア購入費、ハードウェア購入費、最大で2年分のクラウド利用費など

(5)少額取引ではインボイスが不要

1万円未満の経費などの課税仕入れについて、帳簿を保存すれば、インボイスの保存がなくても仕入税額控除が受けられます。

【対象者】
前々年または前々事業年度における課税売上⾼が1億円以下か、前年または前事業年度の開始⽇以後6か⽉間の課税売上⾼が5,000万円以下の事業者
【対象期間】
2023年10⽉1⽇~2029年9⽉30⽇

(6)少額の返品や値引きでは返還インボイスが不要

振込手数料にあたる分の値引処理を含めた、1万円未満の返品や値引きなどについて、返還インボイスの交付が不要となりました。
これについては適用期限はなく、すべての方が対象です。

4.まとめ

インボイス制度において、抜け道となるような方法はないに等しく、制度に違反した場合には罰則もあるため注意しましょう。
免税事業者であっても、売上先が免税事業者、一般消費者(個人)、簡易課税を選択している課税事業者の場合には、インボイス制度による影響はありません。
また、インボイス制度への対応が必要となる場合でも、さまざまな支援措置が講じられているため、これらをうまく活用するようにしましょう。
インボイス制度への対応を進められる場合には、インボイス制度対応の弊社の「SystemBox会計」を、ぜひご検討ください。

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